重複順列の分配問題で「最低1個は必ずもらえる」という条件が付いた瞬間、手が止まりませんか?
「空きあり」型と同じ仕切り棒の考え方をそのまま使うと、答えが合わなくなることがあります。
結論から言うと、最低1個型の解き方は2通りあります。
先に1個ずつ配ってから重複順列で数える方法と、全体から空きが出るケースを引く包除原理の方法です。
どちらを使うかは配る対象と受け取る側の数の大小で判断できます。
この記事では「空きあり」型と「最低1個」型の違いを整理したうえで、2通りの解き方の手順と使い分けを解説します。
あわせて、公務員試験・SPIで出やすい形の演習も扱う内容です。
数的処理の重複順列・分配問題でつまずいている独学の受験生に向けた内容です。
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重複順列の基本公式をおさらいする(n^r)
重複順列の基本形は、n種類の中からr回選んで並べる場合の数をn^rで求める考え方です。
同じものを何度選んでもよく、選んだ順番も区別するのが重複順列の特徴です。
公式そのものの成り立ちや基本問題の解き方は、コム大の別記事「数的処理の順列・組み合わせの覚え方」で詳しく整理しています。
ここで押さえておきたいのは、n^rとは別に「同じものを含む並べ替え」という関連する考え方があることです。
コム大の講座では、赤3枚・青2枚・白1枚の合計6枚のカードの並べ方を例に挙げています。
全体の並べ替え(6!)を、重複しているものの並べ替え(3!×2!)で割る方法です。
6!÷(3!×2!)=720÷12=60通りという計算です。
この「重複度で割る」考え方が、後述する分配問題の仕切り棒法の土台になります。



分配問題の基本の考え方(部屋割り・お菓子配り型)
重複順列は、実は分配問題という形でも公務員試験・SPIに頻出します。
分配問題とは、同じ種類のものを複数人(または複数の部屋)に配る組み合わせの数を求める問題です。
鉛筆をA・B・Cの3人に配る、荷物をいくつかの部屋に振り分ける、といった場面がよく出題されます。
分配問題には大きく分けて2つの型があります。
1つは「空きあり」型で、1本ももらえない人(空っぽの部屋)がいてもよい前提の問題です。
もう1つは「最低1個」型で、全員(全室)が必ず1個以上を受け取る前提の問題です。
この2つは前提が違うだけで計算式が変わるため、まず「空きあり」型の解き方から順番に整理していきます。
「空き部屋あり」型の解き方(仕切り棒で数える)
「空きあり」型の代表例が、コム大の講座で扱われた鉛筆配分の問題です。
同じ鉛筆6本をA・B・C3人に配ります。
1本ももらえない人がいてもよい、という条件です。
コム大の講座では、鉛筆6本と仕切り棒2本、合計8個を1列に並べ替える方法で解いています。
棒より左がAのエリア、棒と棒の間がBのエリア、残りがCのエリアと決めるイメージです。
計算式は8!÷(6!×2!)で、8×7÷2=28通りが答えになります。
コム大の講座では、鉛筆と仕切り棒をまとめて1列に並べ替え、その結果から配分を決める考え方だと説明しています。
「区別のある人・部屋」を区別なしと混同しないための前提整理
仕切り棒法を使うときに注意したいのが、配る側と受け取る側の区別です。
今回のA・B・Cのような人物は、それぞれ別人として区別して数えます。
一方で「同じ種類の部屋が3つある」といった設定でも、部屋に番号や特徴の違いがあれば区別対象です。
区別があるのに区別なしとして計算すると、本来数えるべき組み合わせを見落とし、答えが小さくずれます。
問題文に「A・B・C」のような固有の記号があれば、区別ありのサインだと考えてよいでしょう。



「空きあり」と「最低1個」の違いを明確にする
「空きあり」型と「最低1個」型の違いは、受け取る側の下限が0か1かという1点に尽きます。
「空きあり」型は、1本ももらえない人がいてもよいという前提でした。
先ほどの鉛筆6本をA・B・C3人に配る問題で、答えは28通りです。
同じ鉛筆6本をA・B・Cに配る設定でも、条件が1つ変わるだけで話は変わります。
「A、B、Cさん、必ず最低でも1本はもらえるものとする」という条件です。
コム大の講座では、この最低1個条件の答えは10通りだと説明しています。
同じ6本を3人に配るという見た目はそっくりなのに、答えは28通りと10通りで大きく変わるのです。
この差が生まれる理由は単純です。
「空きあり」型は0本から6本のどんな配分も許します。
一方「最低1個」型は、すでに1本ずつ配られた状態からのスタートになるという違いです。
だからこそ、最低1個型では先に配ってしまうという発想の転換が必要になります。



最低1個条件の解き方①:先に1個ずつ配ってから重複順列で数える
最低1個条件の1つ目の解き方は、先に1本ずつ配ってから残りを重複順列で数える方法です。
同じ鉛筆6本をA・B・Cに配り、全員が最低1本はもらえるようにする問題で考えます。
コム大の講座では、まずA・B・Cの3人に1本ずつ、合計3本を先に配ってしまいます。
残りは6引く3で3本です。
この3本を、先ほどと同じ仕切り棒の考え方で3人に配り直します。
3本の鉛筆と仕切り棒2本、合計5個を並べ替えるので、計算式は5!÷(3!×2!)です。
5×4÷2=10通りが答えになります。
全員に1本ずつ配ってから残りを仕切り棒で数える、というひと手間がこの解き方のポイントです。



最低1個条件の解き方②:全体から空きが出るケースを引く(包除原理)
最低1個条件のもう1つの解き方が、全体から「空きが出てしまうケース」を引く包除原理です。
一般的な解法としては、まず「空きあり」型と同じように、下限を付けずに配る場合の数を先に求めます。
鉛筆6本をA・B・C3人に配る場合、空きありでの全体は仕切り棒法で求めた28通りです。
次に、この28通りの中から「誰か1人が0本になってしまうケース」を除きます。
例えばAが0本になる場合、残り6本をB・Cの2人に配る場合の数を仕切り棒法で求めると7通りです。
これがA・B・Cそれぞれについて起こり得るので、3人×7通り=21通りをいったん引きます。
ただしこの引き算では、「2人が同時に0本」になるケースを2回ずつ引きすぎています。
例えばB・Cが同時に0本、つまり6本すべてがAに集まるケースは1通りしかありません。
これがA・B・Cの2人組3通り分で、3通り引きすぎていることになるのです。
そこで28−21+3を計算すると10通りとなり、先ほどの解き方①と同じ答えに一致します。
このように全体から余分なケースを引いて戻す考え方が包除原理です。
公務員試験の数的処理では、一般的な教科書解法として広く紹介されている方法です。
①の解き方の裏付けとしても知っておくと安心でしょう。



仕切り法と包除原理、どちらを使うべきかの判断フローチャート
仕切り法と包除原理は同じ答えにたどり着きますが、計算の手間は状況によって変わります。
どちらを選ぶかは、配る本数と受け取る人数の大小関係で判断するのが実戦的な目安です。
配る対象・受け取る側の数の大小で判断する
配る本数(r)が受け取る人数(n)に比べて十分に多い場合を考えます。
この場合は、解き方①(先に1個ずつ配ってから重複順列)が計算しやすい傾向にあります。
先に配る本数がn本だけなので、残りの計算がシンプルになるからです。
逆に、配る本数と人数が近い、あるいは受け取る側の人数が多い場合は、包除原理だと引く項目が増えて計算が煩雑になりがちです。
このケースでも、先に1個ずつ配ってから仕切り棒で数える解き方①の方が見通しは良くなります。
実戦的には、公務員試験・SPIの分配問題の多くは①の解き方だけで対応できるケースが大半です。
迷ったときの検算のコツ
どちらの解き方を選んでも、最終的な答えは一致するはずです。
時間に余裕があれば、片方の解法で出した答えをもう片方で検算するのが確実です。
もっと簡単な検算方法として、人数と配る本数をごく小さい数字に置き換えて、実際に手で書き出してみる方法もあります。
例えば「2人に3本、最低1本ずつ」のような小さい設定に置き換えてみましょう。
自分の計算式と書き出しの結果が一致するか確認すれば、立式のミスに気づきやすくなります。



それでも「結局どちらを使えばいい?」
と迷ったときは、一人で抱え込まずに聞いてしまうのが近道です。
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公務員試験・SPIで実際に出る形の類題演習
ここまでの2通りの解き方を、実際の問題形式に近い演習で確認しておきましょう。
数的処理の分配問題は、登場する対象が鉛筆やお菓子から部屋・座席に変わるだけで、考え方自体は同じです。
時間内に解き切る工夫は「数的推理を速く解く方法」でも解説しているので、演習のあとにあわせて確認してみてください。
例題:最低1個条件の分配問題
りんご7個をA・B・Cの3人に配る。
ただし3人とも最低1個はもらえるものとする。
配り方は何通りか。
先に1個ずつ配ると、残りは7引く3で4個です。
残り4個を仕切り棒2本と合わせて並べ替えるので、計算式は6!÷(4!×2!)です。
6×5÷2を計算すると15通りになります。
先に配る、残りを仕切り棒で数える、という手順は本文で扱った鉛筆の例と同じ流れです。
例題:部屋割り型への応用
分配の対象が「人」ではなく「部屋」になっても、考え方は変わりません。
荷物5個を3つの部屋に振り分ける。
ただしどの部屋にも最低1個は荷物を入れるものとする。
先に各部屋へ1個ずつ入れると、残りは5引く3で2個です。
残り2個と仕切り棒2本、合計4個を並べ替えるので、4!÷(2!×2!)=6通りです。
「人」も「部屋」も、区別のある受け取り側として同じ手順で解けます。



受講生がよく間違える誤答パターン
最低1個条件の分配問題で、受講生がつまずきやすいパターンが2つあります。
1つ目は、区別のある人や部屋を区別なしとして計算してしまう誤りです。
A・B・Cのように固有の記号が付いている場合、必ず別人として区別して数える必要があります。
区別を見落とすと、本来数えるべき配分パターンを一部しか数えられず、答えが小さくなってしまうのです。
2つ目は、「空きあり」型と「最低1個」型を混同してしまう誤りです。
最低1個条件が付いているのに、0本もらえる人がいてもよい前提の仕切り棒法をそのまま使うと、答えが合いません。
先に1個ずつ配ってから残りを数える、というひと手間を忘れないことが重要です。
コム大の講座では、実際にこの混同に近い計算ミスが起きた場面があります。
鉛筆6本をA・B・Cに最低1本ずつ配る計算で、講師がその場で「5通り」と口頭で答えを述べたことがありました。
5!÷(3!×2!)の計算過程で約分を1回間違えると5通りになってしまうため、計算ミスとしても典型的な例です。
「間違った情報を伝えて終わるところでした」という振り返りが語られた場面です。
最低1個条件の答えは10通りで確定だと、重ねて押さえておきましょう。



まとめ
重複順列の分配問題は、「空きあり」型か「最低1個」型かで下限が変わり、計算式も変わります。
「空きあり」型は仕切り棒でそのまま数え、「最低1個」型は先に1個ずつ配ってから残りを仕切り棒で数えるのが基本でした。
包除原理を使えば全体から空きが出るケースを引いて同じ答えにたどり着けます。
実戦的には、配る数と人数の大小で使い分けるのがおすすめです。
区別のある人・部屋を区別なしと混同しないこと、空きありと最低1個を混同しないこと、この2点が重要になります。
この2点を押さえれば、初見の問題でも自力で立式できるはずです。



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