公務員試験対策の情報を調べていると、SPI3という見慣れない言葉がでてきて、戸惑ってしまったことはありませんか?
SPI3という言葉自体は知っていても、「民間企業の採用試験だから、公務員には関係ないんじゃないの?」と思った方もいることでしょう。
実は近年、一部の自治体では教養試験の代わりに、SPI3を導入するケースが増えてきています。
そこで本記事では、公務員試験におけるSPI3の基礎知識から通常の教養試験との違い、対策法まで詳しくご紹介。
受験方法で迷っている方は、ぜひ最後までご覧ください。
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そもそもSPI3とはどんな試験?知っておきたい基礎知識

SPI3はリクルートが開発した採用適性検査で、もともとは民間企業向けに実施されていた試験様式です。
「基礎学力」と「職務への適性」を総合的に評価するために導入されました。
本章では、SPI3の出題内容や受験形式といった基礎知識や、なぜ公務員試験に導入されたのかを詳しく解説していきます。
従来の試験ではなくSPI3を行う理由は?
公務員試験にSPI3を導入するようになったのは、より人物重視で選考を行うためや、民間企業をメインに考えている就活生にも受験を検討してもらうためだといわれています。
従来の教養試験では、知識量や勉強量が重視される傾向がありましたが、SPI3では問題解決能力や仕事における性格傾向など、実務に直結する能力を評価できます。
そのため、地域住民への対応やチームプレーが求められる公務員において、ミスマッチの少ない人材採用が可能となりました。
民間企業と同様の試験方式ですので、公務員試験と民間企業の選考を併願しやすくなり、受験者にとっては進路の選択肢が広がるという大きなメリットがあります。
試験内容は?
SPI3の内容は、大きく分けて「能力検査」と「性格検査」の2つです。
能力検査はさらに、「言語分野」と「非言語分野」に分かれています。
- 【言語分野】30分で40問程度出題
語句の意味、文の並び替え、長文読解などが出題され、主に読解力や語彙力を測定 - 【非言語分野】40分で30問程度出題
計算、表やグラフの読み取り、順列・確率、論理問題など、論理的な思考力を問う問題が中心 - 【性格検査】約40分で300問程度出題
受験者の価値観や行動傾向を評価し、組織との適性を判断するために用いられる
SPI3の問題は選択式でテンポよく進むものが多く、解答時はスピードと正確性が重要です。
特に性格検査は問題数が非常に多いうえに回答時間が短いため、直感的な回答が求められます。
詳しくは後述しますが、受験形式によって出題数や制限時間が異なるため、受験案内のチェックは必ずしておきましょう。
受験形式は?
SPI3の受験形式は以下の4つがあります。
WEBテスティング | 自宅にてパソコン受験 |
---|---|
テストセンター | 専用の試験会場でパソコン受験 |
インハウスCBT | 企業内にてパソコン受験 |
ペーパーテスト | 企業内にてマークシート式で受験 |
公務員試験で採用されるのは主に「テストセンター」「WEBテスティング」です。
WEBテスティングは自宅で受験可能ですが、自分の周りをカメラで映しながら受験するため、不正はできないようになっています。
実際に行われる試験形式は自治体によって異なるため、必ず受験案内の確認をしましょう。
SPI・SPI2とどう違う?
SPI3はSPI⇨SPI2に続く最新版の適性検査です。
各バージョンの違いを以下にまとめました。
項目 | SPI(初代) | SPI2(旧版) | SPI3(現行) |
---|---|---|---|
導入時期 | 1973年 | 2005年 | 2013年 |
出題形式 | 紙ベース(ペーパー)中心 | ペーパー+WEBテスティング | WEB/テストセンター/ペーパー/インハウス |
言語分野 | 語句・文法中心 | 同左+読解問題 | より自然な文脈読解や論理展開が強化 |
非言語分野 | 四則演算・図形など | 同左+資料解釈の拡充 | 複合的な計算問題が強化 |
性格検査 | 基本的な質問項目 | 質問数・評価軸の拡充 | 最新の心理学的知見に基づく判定ロジック |
特徴 | 基礎的能力の測定重視 | 内容がやや高度化 | 仕事適性・思考力・人柄の多面評価が可能 |
最新バージョンになるにつれ、仕事に必要な思考力を問う実践的な問題形式になっていきました。
1つの試験で受験者の基礎能力や仕事への適性を判断できるため、自治体側もより適切な人材の確保が可能です。
教養試験とSPI3の違いを徹底比較

SPI3と一般的な教養試験は、出題形式が異なるため、それぞれに合った対策が必要です。
問題内容や難易度、受験可能な職種にも大きな差がありますので、SPI3と教養試験のどちらを受けようか迷ったときの参考にしてみてください。
問題内容や出題傾向の違いについて
まずはSPI3と教養試験で出題される問題や傾向について比較した表を見てみましょう。
比較項目 | SPI3 | 教養試験 |
---|---|---|
出題範囲 | 言語分野(国語的な知識) 非言語(数学的な知識) 性格検査 | 数的処理 文章理解 社会科学 など多分野 |
重視される能力 | 処理スピード、論理的思考力、性格適性 | 知識量、基礎教養、読解力 |
試験の傾向 | 問題は基本的だが、時間が非常にタイト | 出題分野が広く、対策に時間がかかる |
SPI3は教養試験と比較して、知識よりも「処理力」や「判断力」が特に重要となる内容で、短い制限時間の中で多くの問題を解かなければなりません。
出題範囲は大きく異なり、教養試験は国・数・英・理・社の5教科、高校の選択科目である地理や物理、化学、さらに法律や経済などの専門科目など、広範囲から出題されます。
一方、SPI3の出題範囲は比較的狭めです。
- 言語分野
「二語の関係」「語句の意味」「語句の用法」「長文読解」「空間補充」など - 非言語分野
「推論」「場合の数」「確率」「集合」「損益算」「速度算」「表の読み取り」「割合」「装置と回路」「比率」「不等式」など
数学的知識が問われる非言語分野はそれなりに勉強が必要ですが、それでも教養試験と比べて対策しやすいでしょう。
難易度について
SPI3は教養試験よりも出題範囲が狭く、高度な知識を必要とする問題が出題されないため、教養試験よりも難易度は低めです。
しかし制限時間はSPI3の方が圧倒的に短いため、早く解かないといけないという焦りから、間違った解答をしてしまう人も。
- SPI3:70分 70問
- 教養試験:120分 40〜50問(試験によって異なる)
どちらの試験が楽かは、個人の得意分野や基礎学力によって大きく分かれるでしょうが、SPI3を選ぶなら解答スピードを上げるための対策、教養試験を選ぶなら自分に合った得点源を作るための対策をしましょう。
受験できる職種について
教養試験はほとんどの職種で受験できますが、SPI3で受験できる職種はやや少なめです。
一部の市役所や県庁、消防官や警察官ではSPI3が導入され始めていますが、国家公務員や一部の市役所では教養試験のみ受験可能となっています。
自身が志望する職種、自治体がどちらの試験方式を採用しているのかは、ホームページ等を見て事前にチェックしておきましょう。
SPI3の効率の良い対策法を紹介

SPI3が公務員試験において新しい試験方式だからといって、自分なりに闇雲に対策するのはおすすめしません。
効率良く得点力を上げる方法を知り、短期間で合格ラインに乗せましょう。
ちなみに、明確な合格ラインは定まっていませんが、教養試験と同様で全体の6〜7割が得点できれば合格できるといわれています。
それでは、具体的にどのように対策していけばいいのかを見ていきましょう。
まずは無料テストで実力チェックしてみよう
SPI3で出題される範囲をいきなり勉強する前に、どのような問題が出るのか、現状でどの程度理解できるのかを知りましょう。
まずは「SPI無料学習サイト|StudyPro」さんが提供している無料テストを受けてみるのがおすすめです。
何も知らずに全分野を網羅的に対策しようとすると、時間も労力もかかりすぎてしまいます。
重点的に対策すべき分野や現状の学力を知ることで、効率的に得点が伸ばせるでしょう。
試験の形式や全体像がわかったら、実際の対策に移っていきます。
言語分野の対策法
言語分野で特に力を入れたいのが、語彙や読解力を身につけることです。
本や新聞などを読み、日常的に文章に触れることで、多くの問題をカバーできるようになります。
基礎的な語彙力や読解力が身についてきたら、問題集や漢字・語句が学べるアプリ等を使って応用力を付けていきましょう。
そこまで難しい問題は出ませんので、短時間で正確に解くために問題形式に慣れるのも重要です。
まだSPI3は導入されたばかりですが、過去問が手に入るようなら過去問で出た部分から重点的に取り組みましょう。
非言語分野の対策法
非言語分野は、言語分野よりも得点差がつきやすい重要な分野です。
数学的な要素が強く、苦手意識を持ちやすい分野でもあります。
しかし、解法のパターンが存在する問題が多いため、繰り返しの問題演習で確実に得点が伸びるのが特徴です。
問題自体の解き方を丸暗記するのではなく、同じような問題が出たときに応用が効くように「考え方の型」を覚えましょう。
過去問・参考書・問題集を使って演習をし、問題を見た瞬間にパッと解き方が思い浮かぶようになるまで、しっかりと脳に染み込ませることが重要です。
よくある落とし穴と注意点!SPI3対策で失敗しないために

SPI3は従来の教養試験と比べて難易度が低いため、そこまで対策しなくてもいいと思われがちです。
しかし対策を怠ってしまうと、実力を発揮できず不合格になるケースが少なくありません。
本章では、SPI3を受ける際によくある失敗例とその回避策を具体的に解説していきます。
制限時間と正確性には要注意
「SPI3は高校レベルの基礎問題が中心だから楽」と思い込んでいると、大きな落とし穴にハマってしまいます。
たしかに出題内容はそこまで難解ではありませんが、最大の注意点は「時間制限が短い点」と「正確で素早い処理スピードが要求される点」です。
1問あたりにかけられる時間が1分を切ることも珍しくなく、初見で解くとほとんどの人が時間内に終わりません。
問題文が長かったり、表の情報量が多かったりする場合は、内容を理解する前に時間切れになってしまうことも。
上記のような事態を避けるためには、以下のことを意識しましょう。
- 何度も問題を解き、出題形式に慣れておくこと
- 制限時間を意識した演習を積むこと
- 時間がかかりそうな問題は後回しにすること
かんたんだからと油断せず、最低限の演習は必ず行ってください。
性格検査で取り繕うのはNG
SPI3の性格検査は、能力検査と違って正解・不正解がないため、つい自分をよく見せようと嘘をついてしまう可能性があります。
しかし、性格検査で嘘をついてしまうと、公務員にふさわしくない人材だと判断されて不合格になる危険性があるため注意しましょう。
性格検査でチェックされるポイントをまとめました。
- 行動的側面
起きた物事に対してどのような行動パターンを取るのかを検査する。内向的か外向的か、継続力があるか、思慮深い行動ができるかがわかる。 - 意欲的側面
目標に対して意欲的かどうかを検査する。向上心や積極性など、仕事に対する向き合い方がわかる。 - 情緒的側面
強い不安やストレスを感じた時、どう自分をコントロールするかを検査する。他者に対するいたわりの気持ちがあるのか、ポジティブかネガティブかがわかる。 - ライスケール
嘘をつく人間かどうかを検査する。虚栄心や自尊心が仕事の邪魔をするかどうかがわかる。
同じような質問が何度か繰り返されることがあるため、一貫した解答を心がけましょう。
自己分析を行い、「こう見られたい」ではなく「自分らしさ」がどこにあるのかを意識しましょう。
性格検査のためにする自己分析は、面接対策にもなるため一石二鳥です。
併願する場合は対策を始める時期に注意
SPI3を課す自治体と、教養試験しかない自治体を併願する場合、どちらの対策にも時間を割く必要があるため、対策の開始時期やリソースの割き方が重要になります。
併願を考えている場合のおすすめスケジュールは、以下のとおりです。
- 試験3ヶ月前まで
教養試験を徹底優先して対策 - 試験2ヶ月前から
SPI3の過去問を解き始め、わからない部分を参考書で補完 - 試験1ヶ月前以降
教養試験・SPI3ともに模試や問題集を実際の制限時間で解き、得点力を伸ばす
教養試験対策で培った学力があれば、SPI3は最低でも2ヶ月あればしっかりと対策できるため、そこまで焦る必要はありません。
SPI3と教養試験は出題分野が一部かぶるものの、形式が微妙に異なるため、それぞれの試験で頭の使い分けができるようにしましょう。
SPI3に関するQ&A
公務員試験におけるSPI3のよくある質問をまとめました。
まとめ
SPI3は、これまで民間企業の就職試験のイメージが強かったかもしれませんが、近年では公務員試験でも導入が進んでおり、無視できない存在となっています。
自治体によっては、SPI方式と教養試験を選択できるケースもあるため、どちらに重点を置くかは受験戦略の大きな分かれ道です。
SPI3の特性を理解し、自分の受験スタイルに合わせた対策を立てることで、無駄なく合格に近づけます。
ぜひ本記事を参考にして、自信を持って準備を進めてください。
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