中途採用で公務員を目指そうと思っている方は、きっと今の仕事に不安や限界を感じているのではないでしょうか。
しかし、いざ転職しようと思っても年齢制限や試験の大変さ、未経験ゆえの不安など、数々の壁を感じている方も多いはずです。
そこで本記事では、公務員の中途(経験者・社会人)採用の基本的な知識をはじめ、どんな人が受かるのか、どんな仕事が受かりやすいのかをご紹介していきます。
将来を変える第一歩を踏み出したい方は、ぜひ最後までご覧ください。
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公務員の中途(経験者)採用とは?まずは受験枠の基本を知ろう

公務員の中途採用とは、一定の職務経験を持つ社会人を対象とした採用枠です。
同じく社会人でも受験可能な大卒程度の一般枠と比較しながら、中途採用枠の受験資格や試験内容について見ていきましょう。
受験資格について
公務員の中途採用枠の受験資格は、受験する職種によって多少異なりますが、5年以上の職務経験が求められる場合が多いのが特徴です。
中途採用枠の一般的な年齢制限を以下にまとめました。
- 地方公務員:59歳以下
- 国家公務員:39歳以下
詳しくは後述しますが、中途採用枠は募集人数が少なく倍率が高くなりがちですので、年齢が30歳に満たない方は、中途採用枠ではなく大卒程度の一般枠を受験した方がよいでしょう。
試験内容について
試験内容についても自治体によって異なりますが、中途採用枠の一般的な試験内容をご紹介します。
難易度は大卒程度〜高卒程度と、自治体によってさまざまです。職種によっては専門試験を実施する場合もあります。
過去の職歴を活かし、どう公務員の業務に取り組むのかを論じる論文試験です。
社会問題や行政課題に対する自分の考えを論じる、一般枠の論文試験と同様の内容の論文試験です。
中途採用枠は、面接の配点が高くなりがちです。なぜ公務員に転職しようと思ったのかを深ぼっておきましょう。
中途採用枠は社会人としての経験値が重視されるため、面接試験対策には特に力を入れましょう。
当然ながら筆記試験も評価に大きく関わりますので、6割以上は得点できるようにしておく必要があります。
公務員の中途(経験者)採用が厳しいと言われる理由

公務員の中途採用は、受験した人の多くが厳しいと感じています。
理由は以下のとおりです。
- 募集人数が少なく倍率が高いから
- 要求される能力値が高いから
受験を検討する方は、上記のハードルを理解しつつ、対策に臨みましょう。
募集人数が少なく倍率が高いから
公務員の中途採用枠が厳しいとされる最大の理由は、募集人数が少なく、倍率が高くなりがちな点です。
自治体によっては募集人数が10名に満たないことも少なくありません。
倍率も10倍以上になることもザラにあり、合格するのがいかに難しいのかがわかります。
これは一般枠の大量採用とは異なり、即戦力として限定的に採用したいという目的があるからです。
高倍率の中でも勝ち抜くには、筆記試験で高得点を取ることはもちろん、面接において他の受験者と差をつける明確な軸を持つ必要があります。
要求される能力値が高いから
面接試験における差別化にもつながりますが、中途採用枠には高い専門性や即戦力となるスキル・経験が求められます。
要求される能力値が高いため、合格の難易度は高めです。
年齢対象が広めに設定されているため、自分よりも社会人経験が豊富な人たちと少ないパイを奪い合うことになります。
コレという能力がないと他の受験者に埋もれてしまうため、公務員の業務に活かせる能力が自分にあるかどうか知るためにも、自己分析は徹底的に行いましょう。
中途(経験者)採用で受かりやすい人の特徴3選

中途採用枠で合格を勝ち取る人には、いくつかの共通した特徴があります。
実際にどのような人が合格しやすいのか、以下の3つの視点から見ていきましょう。
- 有利になる経験・資格を前職で身につけている人
- 自身の強みをしっかりと伝えられる人
- 民間企業と公務員の違いを理解できている人
受かりやすい人の特徴を知ることは、自己分析や志望動機の作り込みにも役立つはずです。
有利になる経験・資格を前職で身につけている人
中途採用枠では、前職で何をしてきたのかが重要視されます。
特に自治体の業務と親和性のある職務経験があったり、実際の業務に役立つ資格を持っていたりする人は有利です。
- 日商簿記2級以上
- TOEIC・英検などの英語資格
- 社会保険労務士
- 行政書士
- MOS(Microsoft Office Specialist)
- 基本情報技術者/応用情報技術者
- ITパスポート(教養区分では一般的)
- システム監査技術者/ネットワークスペシャリスト
- セキュリティ系資格(CISSP、情報セキュリティマネジメントなど)
- 技術士/技術士補
- 一級・二級建築士
- RCCM(土木施工管理)
- 電気主任技術者/電気工事士
- 建築施工管理技士/土木施工管理技士
- 社会福祉士
- 精神保健福祉士
- 臨床心理士/公認心理師
- 介護福祉士
- 保育士
- 保健師
- 看護師
- 管理栄養士
- 臨床検査技師/診療放射線技師
当然資格がなくても合格は可能ですが、上記のような資格・スキルがあると、面接官にも「公務員として即戦力として採用できそうだ」と判断されやすくなります。
前職で培ったスキルや知識がどう業務に活かせるのかを意識して、スキルセットを自分の中で整理しておきましょう。
自身の強みをしっかりと伝えられる人
前述のとおり、前職で培ってきたスキルや経験があればある分、合格に有利になります。
しかし重要なのは「どんなスキルがあるか」よりも「それをどう伝えられるか」という点です。
いくら業務に活かせる強みを持っていたとしても、論文や面接で上手に伝えられなければ、スキルがない人と見られ方は変わりません。
採用側は受験者の過去を直接見られない以上、言葉や文章から判断するしかないからです。
どのようなスキルを持ち、どのような状況で、どのような行動を取り、どのような成果を出し、その経験がどのように今後の業務に活かせるのかを、具体的かつ論理的に語る必要があります。
スキルを伝わる形に変換する力がなければ、スキルがないのと同じになってしまうため、伝え方の準備は徹底的に行いましょう。
民間企業と公務員の違いを理解できている人
公務員の中途採用では、志望者が「民間と公務の違いを正しく理解しているか」も重視されます。
民間と同じ感覚で仕事をしようとすると、かえって組織に馴染めず、ミスマッチを起こすケースがあるためです。
民間企業は「利益重視」「スピード重視」ですが、公務員は「公平性」「法令遵守」「住民視点」が最優先されます。
また、組織内の意思決定も、民間のようにトップダウンではなく、合議制で進む場面が多いです。
上記のような違いを理解したうえで、自分はなぜ公務員を目指したのかを伝えましょう。
中途(経験者)採用でも合格しやすい職種を紹介

公務員の中途採用枠は募集人数が少なく、倍率が高くなりがちですが、比較的合格しやすい職種も存在します。
少しでも合格する確率を高めたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
東京都庁職員
東京都庁に勤める東京都職員は、中途採用枠を受験する多くの人におすすめの職種です。
令和6年度に実施された、東京都職員のキャリア活用採用選考枠の結果を以下にまとめました。
選考区分 | 採用予定者数(人) | 倍率 |
---|---|---|
資金運用 | 2 | 2.0 |
財務 | 4 | 6.5 |
不動産 | 6 | 13.0 |
土木設計施工 | 10 | 3.8 |
測量 | 2 | 2.0 |
建設施工 | 8 | 2.8 |
機械設備 | 10 | 2.7 |
電気設備 | 9 | 2.0 |
ICT | 30 | 3.1 |
環境検査 | 3 | 1.8 |
林業 | 3 | 2.7 |
資源管理 | 2 | 2.7 |
公園整備 | 2 | 2.7 |
児童心理 | 20 | 3.9 |
看護 | 5 | 1.0 |
都市林業振興 | 3 | 5.3 |
現代は行政のDX化が進んでいることもあり、ICT(情報通信技術)職の採用に力を入れていることがわかります。
その他専門的な職種も豊富で、なおかつほとんどの職種で倍率が低いため、自分の可能性を試すなら受験の候補に入れてもよいでしょう。
特別区職員
東京23区を構成する「特別区」の職員採用試験は、採用人数が多いわりに倍率が低くておすすめです。
令和6年度の経験者採用試験の結果を、以下にまとめました。
選考区分 | 採用予定者数(人) | 倍率 |
---|---|---|
事務(一般事務) | 291 | 3.0 |
事務(ICT) | 18 | 1.9 |
土木造園(土木) | 36 | 1.3 |
建築 | 51 | 1.2 |
機械 | 17 | 2.0 |
電気 | 18 | 1.7 |
福祉 | 39 | 1.5 |
児童福祉 | 14 | 1.4 |
児童指導 | 13 | 1.4 |
児童心理 | 10 | 1.7 |
選考区分 | 採用予定者数(人) | 倍率 |
---|---|---|
事務(一般事務) | 128 | 4.4 |
事務(ICT) | 14 | 2.0 |
土木造園(土木) | 21 | 2.4 |
建築 | 32 | 1.5 |
福祉 | 25 | 1.5 |
児童福祉 | 18 | 1.4 |
児童指導 | 11 | 1.4 |
児童心理 | 10 | 1.0 |
選考区分 | 採用予定者数(人) | 倍率 |
---|---|---|
事務(ICT) | 3 | 4.0 |
児童福祉 | 8 | 2.4 |
児童指導 | 3 | 1.3 |
児童心理 | 3 | 2.0 |
上記表を見てわかるとおり、職務経験の長さによって採用枠が分かれているのが特徴です。
中途採用枠としては比較的受かりやすい職種ではありますが、働く区の選択ができない可能性があるため、注意しましょう。
地方の市役所職員
地方の市役所職員は、政令指定都市の区役所職員や都市部の市役所職員と比べると、倍率は低くなりがちです。
募集人数こそ少なめではありますが、地元出身者であるならば狙う価値は大いにあります。
自治体によって募集人数・倍率に大きく差があるため、受験候補となる市役所の募集要項を確認してみましょう。
経験者採用枠がない自治体もあり、その点には注意が必要です。
公務員へ転職するメリットを紹介

中途採用で公務員を目指す方にとって、転職後の生活がどう変わるのかは非常に重要なポイントですね。
実際、公務員には民間企業では得づらい数多くのメリットがあります。
その中でも特に大きなメリットである3つの要素を見ていきましょう。
雇用や収入が安定している
公務員の最大の魅力は、雇用と収入の安定性です。
収入に関しては景気に左右されることなく、一定の昇給制度が確立されています。
雇用に関してもリストラや早期退職勧告といったリスクがなく、長く安定して働き続けられるのは非常に大きなメリットです。
堅実な人生設計をしたい方にとっては、民間企業以上の安定を感じることでしょう。
ノルマがなく数字に怯えることがない
民間企業の中でも、特に営業職などノルマが課される職業に就いている方にとって、公務員のノルマがない環境は、大きな解放感につながります。
公務員は利益を追求する組織ではなく、地域住民へのサービス提供や地域の課題解決が主なミッションです。
そのため、数字に追われ続けるプレッシャーや、業績の悪さによって上司に詰められるといったストレスから逃れられます。
当然、仕事の責任や忙しさはありますが、成果主義ではなく公平性を重視するため、人によってはメンタル的な負担が激減することでしょう。
社会的な信頼性が高まる
公務員は雇用や収入が安定しているため、社会的な信頼性が非常に高い職業です。
クレジットカードや住宅ローンの審査、賃貸契約の場面で、この信頼性の高さは大きく影響します。
また、「公務員=堅実・誠実」というイメージが強いため、親やパートナーなど身近な人からの評価も高くなり、自己肯定感も高まるでしょう。
公務員へ転職するデメリットを紹介

公務員への転職は多くのメリットがある一方で、当然ながらデメリットも存在します。
民間企業でのキャリアや働き方に慣れている方にとっては、公務員ならではの制度や働き方に戸惑いを感じることも少なくありません。
転職後に「こんなはずじゃなかった」と思わないためにも、デメリットはきちんと理解しておきましょう。
副業ができなくなる
公務員は原則として、副業が法律で禁止されています。
現在アフィリエイトやYoutubeなどの広告収入を得たり、動画編集やWebライターなどの成果報酬を得たりしている方にとっては、大きな打撃です。
個人でも別の事業に取り組みたい、収入の柱を複数持ちたいと考えている方は、公務員は「自由度の低い働き方」だと感じてしまう可能性があります。
給与が年功序列制
公務員の給与体系は年功序列が基本となっています。
能力や実績にかかわらず、昇給や昇格のスピードはある程度決まっているため、「努力が正当に評価されていない」と感じる場面もあるはずです。
そのため、民間企業で実力主義の環境に慣れた方にとっては、大きなストレスになる可能性があります。
安定した収入は言い換えれば、インセンティブや歩合制で収入を増やせないということでもありますので、ガツガツ仕事をして稼ぎたいという方は、仕事に対するやりがいを感じづらいかもしれません。
仕事に裁量がない
公務員の業務は、組織で定められたルールの中で動くことが原則であり、仕事における個人の裁量はほとんどありません。
前例主義や文書主義、合議制などが根強く残っており、個人が「もっとこうしたい」と感じても、即座に動けないことも多いのが実情です。
民間企業で自らアイデアを出し、スピーディーにプロジェクトを回していた人にとっては、「もどかしさ」や「やりがいの低下」を感じることがあるかもしれません。
しかし逆に言えば、組織のルールに則って着実に仕事を進めたい方や、安定した業務ペースで働きたい方には向いていると言えるでしょう。
自身の性格や働き方の相性を、よく見極めることが大切です。
まとめ
公務員の中途(経験者)採用に合格するのは、決して簡単ではありません。
基本的には募集人数が少なく、倍率も高いですし、求められる能力も高いため、多くの方が厳しいと感じることでしょう。
しかし、適切な準備と自己分析、そして民間企業での経験を活かす視点があれば、突破は十分可能です。
- 中途採用の仕組みと試験内容を理解することが第一歩
- 倍率や職務要件といった「厳しさの正体」を把握し、戦略を立てることが重要
- 合格する人には共通する特徴や姿勢がある
- 狙いやすい自治体や職種を選ぶことで合格の可能性は上がる
- 転職後のメリット・デメリットを踏まえて長期的視点で判断するべき
中途採用は年齢や経験に応じた「第二のキャリア選択」でもあります。
今まで民間企業でしてきた経験を、地域社会や行政サービスに活かしたいと本気で思えるなら、挑戦する価値は大いにあります。
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