公務員試験の面接で「他の自治体や民間企業も受けていますか」と聞かれて、答え方に迷っていませんか?
結論から言うと、併願の事実は正直に伝えた上で、目の前の自治体を第一志望として言い切ることが基本です。
この記事では、面接官が併願状況を聞く理由から解説します。
あわせて、公務員のみ・民間併願・地元以外・社会人経験者という状況別の回答例文と、避けたいNGパターンも紹介します。
学生・既卒・社会人経験者など、併願のパターンに関わらず使えるように整理しました。
中條講師面接官が併願状況を聞く理由
一昔前の公務員試験の面接は、覚えた無難な回答をそのまま話す発表会のようなものでした。
今は違います。
中條講師によると、今の面接は行動特性の再現性と深掘りを見る「コンピテンシー型面接」に変わっているといいます。
これは過去の行動から今後の再現性を判断する面接手法です。
事前に用意した回答だけで乗り切るのが難しい形式です。
コンピテンシー型面接の評価軸そのものについては、別記事で詳しく解説しています。
気になる方はコンピテンシー型面接とは?評価基準と対策を参考にしてください。
一貫性を見られているからこそ、併願状況も「行動の一貫性」を測る材料になります。
そもそも公務員と民間を併願すべきか迷っている段階の方は、公務員と民間の併願はキツい?両立のメリット・デメリットやコツもあわせて読んでみてください。
中條講師が過去に紹介した兵庫県庁の採用試験では、収録当時の情報としてこの配点が示されていました。
面接の配点は筆記よりも大きく設定されていたことになります。
ただしこの数値は講座収録時点のものです。
年度によって変わる可能性があるため、受験先の最新の採用案内で必ず確認してください。



併願を聞かれた時の回答の基本
併願状況を聞かれたときの回答には、共通する型があります。
中條講師が一貫して伝えているのは、併願の事実自体は正直に話してよいということです。
その上で、目の前の自治体を第一志望だとはっきり言い切ることが重要だとしています。
理由は採用側の心理にあります。
中條講師は、内定を出したのに辞退されることが人事担当者にとって最もつらい結果だと説明しています。
だからこそ、第一志望であるという言葉は、採用する側の不安を取り除くために欠かせません。
このあと紹介する3つのステップを押さえれば、状況が違っても回答の骨格は同じように組み立てられます。
結論から併願先を伝える
併願を聞かれたら、まず結論から答えます。
「はい、他に◯◯市と◯◯県も受験しています」のように、事実を先に一言で伝えます。
歯切れの悪い前置きから入ると、それだけで隠し事をしている印象を与えてしまいます。
結論を先に置くことで、そのあとの説明にも面接官が集中しやすくなります。
併願先と共通する軸を示す
併願先を伝えたら、次にその自治体・企業を選んだ軸を示します。
バラバラな理由で受けていると、志望動機の一貫性が疑われてしまいます。
「地域の子育て支援に携わりたい」のように、併願先すべてに共通する軸を一つ用意しておきます。
軸が一つに定まっていれば、面接官はあなたの行動に再現性があると判断しやすくなります。
第一志望である根拠を語る
最後に、目の前の自治体が第一志望である根拠を語ります。
共通の軸の中でも、この自治体だからこそ実現できる具体的な政策や事業に触れます。
中條講師が示す回答例では、「何々の事業に携わりたい気持ちが最も強いため、第一志望です」という言い方が紹介されています。
合格した場合は他を辞退する意思まで添えると、根拠に説得力が増します。



状況別の回答例文
公務員のみ併願する場合
公務員だけを併願している場合は、比較的説明しやすいパターンです。
「公共サービスに携わりたい」という軸そのものが、併願先すべてに共通しているためです。
回答例
「はい、他に◯◯県庁と◯◯市役所も受験しています。
地域の住民に近い立場で行政に携わりたいという軸は、どこも共通しています。
ただ、◯◯市が掲げる子育て支援の取り組みに最も強く関わりたいため、第一志望です」
公務員のみの併願は、共通の軸を示しやすい分、具体的な事業名まで踏み込めるかどうかで説得力が変わります。
民間企業も併願する場合
民間企業も併願している場合は、公務員と民間で軸がぶれていないかを意識します。
中條講師の指導方針に沿うと、業界や業種でなく、携わりたい課題や役割で共通点を語るのがポイントです。
回答例
「就職活動では、民間企業も並行して受けています。
ただ、公務員も民間も、地域や生活の課題解決に携われる仕事を軸に選んでいます。
中でも◯◯市は、住民に一番近い立場で課題に向き合える点が魅力で、第一志望です」
民間と公務員で軸の言葉が変わってしまうと、一貫性が薄く見えてしまうため注意します。
志望先が地元以外の場合
地元以外を志望している場合は、なぜ地元でないのかまで踏み込んで答える準備をしておきます。
中條講師が紹介する回答例では、他市も受験していることをまず認めます。
その上で、その自治体だからこそ携わりたい事業に触れ、第一志望だと言い切っています。
回答例
「他市も受験していますが、目の前の◯◯市が第一志望です。
地域活性化に携わりたいという軸は、受験先すべてに共通しています。
中でも◯◯市が進める事業に携わりたい気持ちが最も強く、合格した際は他自治体の辞退手続きも速やかに行います」
辞退の意思まで添えることで、地元でない志望にも説得力が生まれます。
社会人経験者の場合の回答例
社会人経験者の場合は、併願理由に加えて前職を辞めてまで公務員を目指す理由を問われやすい傾向があります。
この点について確認できる一次情報は今回ありません。
前職の業種ではなく、そこで培った力に焦点を当てて語ります。
一般的には、そのほうが伝わりやすいと考えられます。
回答例
「他自治体も受験していますが、◯◯市が第一志望です。
前職の法人営業で培った、関係者間の調整力を行政でも生かしたいという軸は変わりません。
中でも◯◯市の◯◯政策に最も強く関わりたいため、第一志望です」
併願理由と離職理由、どちらも聞かれる前提で準備しておくと安心です。



併願回答のNGパターン
併願の回答に限らず、面接全体でやってしまいがちなNGパターンがあります。
中條講師は、個人での対策にありがちな失敗を挙げています。
主観的には答えたつもりでも、第三者から見ると抽象的になっているケースです。
一人で練習していると、この抽象さに自分では気づけません。
回答例で言えば、「様々な工夫をして」「たくさんコミュニケーションを取って」といった曖昧な言葉です。
こうした言葉を使ってしまうパターンがNGです。
中條講師の添削では、こうした言葉は数値や具体的な行動に置き換えるよう指導されています。
もう一つのNGは、併願理由がバラバラで一貫性がないまま話してしまうことです。
「なんとなく受けやすかったから」のような理由は避けたいところです。
コンピテンシー型面接が見ようとしている再現性と、正反対の印象を与えてしまいます。



面接カードとの整合性の取り方
回答は口頭だけでなく、面接カードに書く内容とも整合性を取る必要があります。
ここは中條講師が面接カードの実地指導で培ってきた知見が生きるところです。
面接カードは1行目で見られる
中條講師は、1日に最大8人の面接練習を担当した経験から、面接カードは基本的に1行目しか見られないと語っています。
多くの受験者と向き合う面接官は、一人ひとりの文章を隅々まで読み込む時間がないためです。
だからこそ、伝えたい結論は最初の1行に置く「結論ファースト」の書き方が有効になります。
併願理由を書く欄も同様で、共通の軸を最初の一文に凝縮しておくと伝わりやすくなります。
あえてフックを残す書き方
中條講師が紹介するもう一つのテクニックが「あえてフックを残す」書き方です。
限られた文字数の中で、あえて核心をぼかし、面接官が「もっと聞きたい」と思うキーワードを残しておく方法です。
そうすることで、面接官の質問をある程度想定した状態で本番に臨めます。
併願理由についても、共通の軸だけを書いておきます。
その軸を選んだ具体的なエピソードは、口頭で話すために残しておくという使い方ができます。
添削のビフォーアフター例
中條講師が示す添削例の一つに、塾講師のアルバイト経験を書いた面接カードがあります。
NG例
「様々な工夫をしてみんなを引っ張って売上に貢献した」
↓ 数字と行動を具体化
OK例
「出席率が前年比20%落ち込んだ課題に対し、2名の講師と共同で家庭への連絡指導を新しく作りました」
「その結果、3ヶ月で出席率を15%改善しました」
数字と共同した相手の人数まで書くことで、行動の中身が一気に具体的になっています。



本命はどこか深掘りされた時の備え
併願状況を答えたあとは、「本命はどこですか」「落ちたらどうしますか」と深掘りされることがあります。
中條講師は、面接官が使う評価シート(面接カード、通称メンスカード)を実際に見た経験を持つ講師です。
そこでは受験者ごとに6つの項目が判定されているといいます。
ただし評価軸の名称や段階は、資料作成時点のものです。
自治体によって様式が異なる可能性があるため、あくまで一つの目安として捉えてください。
深掘りへの備えとして重要なのは、最初の回答と矛盾しない一貫性です。
「落ちたらどうしますか」と聞かれた場合の回答例も紹介されています。
もしここが不合格になった場合は残念だが、志望先の中で合格をいただけたところで経験を積んでいきたい、という形です。
最初に示した軸をぶらさず、深掘りされても同じ答えにたどり着く状態を作っておくことが備えになります。



面接対策でよくある落とし穴
併願対策も含め、面接対策全体でつまずきやすいポイントがあります。
中條講師によれば、独学で対策している受験者や予備校に通う受験者から聞く話があります。
面接練習の機会が十分に取れなかったという声です。
本番までに2回しか練習できなかったというケースも聞かれるとのことです。
これはあくまで伝え聞いた話として紹介されているものです。
練習量以外にも、中條講師が挙げる個人対策で陥りやすい落とし穴があります。
- 想定していない突発的な質問への弱さ
- 話すときの癖に自分で気づけないこと
- 声に出して話せた安心感で、内容の検証まで手が回らないこと
一人で対策していると、これらは自分では気づきにくい落とし穴です。
落とし穴に気づけたところで、次の一歩として、独学の対策に第三者の視点を足す方法を紹介します。



まとめ
併願状況を聞かれたときは、事実を正直に伝えた上で、目の前の自治体を第一志望として言い切ることが基本です。
結論、共通の軸、第一志望である根拠という3ステップに沿えば、答えの骨格は作れます。
公務員のみ・民間併願・地元以外・社会人経験者、どのパターンでも同じ型で応用できます。
面接カードも口頭の回答と矛盾なく整合させ、深掘りされても軸がぶれない状態を作っておきましょう。
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